いつもよりも大胆に

※大学生パロ




今日は久しぶりに早朝から夜遅くまでバイトして、
休み時間には期限付きの課題に取り掛かった
何かを食べる気にもなれなくて、
家のドアを開けたときには寝室に直行することだけを考えていた

玄関に鞄を下ろし、限界が来たのかその場でがくんと倒れそうになる


痛い、はずなのに


「おかえり」


倒れた先に温もりを感じる
いるはずもない人の声を頭上から聞きとり、頭がショートしてしまった
ゆっくりと重たい瞼を上げ、しっかりと視界におさめる


ああ、せんぱいだ


そう認識してしまえば早いもので、小さくただいまと返す
情けないほど沈んだ自分の声に呆れる

せんぱいも呆れたのだろうか、小さく笑って眠いのかと聞いてくるものだから素直に頷き、頭を下げる
なんのお持て成しもできなくてすみません。その気持ちが伝わるように
いつからここにいるんだろう
どこか頭の片隅で早く眠りにつきたい、帰ってほしいと考えている
せっかく来てもらったのに、
嬉しくて仕方ないのに、


瞬間、頭をなでられた感覚があってそちらを向くとせんぱいはまだ優しく笑ってくれていた
その表情に何度救われたか知れない。自然と安堵の息を漏らす

寝室まで連れてく、そう言いながらおれを肩に抱えて奥へと進む
ふと、左半身から伝わるせんぱいの熱と匂いにどきりとした


せんぱい、おれん家で、風呂、入ってたんだ


いなくても勝手に上がってくれて構わないと何ヶ月か前に合い鍵を渡していた
初めてなんだ、おれの部屋でおれと同じものを、せんぱいが使用してくれたことが
だめだと分かっていても、睡魔に襲われていたはずの体が覚醒し始めている


ほしい


少しは、強請ってもいいんじゃないか
いつも我慢してきた。この人からおまえは欲がないなとか淡白だよなとか、散々言われた
それはせんぱいだから、しげのごろうだから、大切なあなただから、おれは、


まだ寝室じゃない、だけど


疲れた体を精一杯動かし、隣の様子を見て慌てた彼に体重をかけて押し倒すことを試みる
欲望のままに行動して、後には引けない状況をつくる

「ちょ、待てっ大河…っ!」

おまえ眠いんだろ無茶するな!
抗議の声が聞こえるが今のおれには効果なしだ
隙を見て愛おしむように目の前の唇を何度も啄む
案の定、未だ慣れずにかっと染まる頬を見て愛しさが増す


かわいいな


ことばには、出せないけど


「待てません、吾郎さんがほしい」

「っ…!だからって、その…ゆ、床っ冷たいからやだって!」

思わぬ一言に一瞬、せんぱいは驚いた表情をして口をつぐんだ
それから続いたことばに、求められていることを拒否しているようではないことに安心する

「大丈夫ですよ」

抵抗は弱いがとりあえず逃げられないよう彼の背中に腕を回し、徐々に床との距離を縮める
はじめびくりと震えた体は身を委ねるようにゆったりとした動作で抱き返してきた

距離が、ゼロになる
せんぱいの眉がぴくりと動いた、気が付いたか

「?…あ。あったかい…」


床暖房なら大丈夫!


いまの雰囲気にそぐわない音が入り、一旦動きを止める
振り向くと待っている間つけていたのだろう、リビングからテレビの音声が響く
そこでようやくおれは2人が寝室前の廊下にいるのだと気が付いた
リビングはその向かい側にあるのだ

たしかに床暖房にされているがこのタイミング。神の悪戯とはこのことか
当然だろうが相手にも聞こえたようだ。しばし沈黙がおりる
先に口を開いたのはおれではなかった


「いや、でも床痛いしやっぱりやだ」
「……」


それはテレビに向けてなのか、おれへ抑制を促すことばなのか
どちらにしろことの続きを行う気力がしぼんでいくのが分かる
たいして入れてなかった腕の力を解き、彼を解放してふらりと立ち上がる
今までの行動を全て無にかえすことは不可能だが、明日まだここに存在があるならば適当に酔いの勢いだったとでも誤魔化そう
まだ理性の残っていた頭で考え、寝台へと頼りない足取りで向かう
後ろで制止のことばが掛かったが、やはり体は無理をしていたらしく
その声は次第に遠く感じた




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中途半端におわる←

こうなるはずじゃ…!(^p^;)床暖房のCMを見て、思いついたネタだったので、
2人がそのCMを見てあの、床でも大丈夫!な方向で、という話にしようとしてorz
個人的見解ですが、大河は普段理性的なんだと思います。
そんな彼に吾郎君はきっとしてほしがってr(黙)