何度も口にしようと意を決して彼と向き合うその時間が苦しい。


お前は、きっと知らないだろうな。


いつも背中越しで呟いてること。
柄にもなく部屋で練習してること。
伝えたいことがあるんだ、胸が今にも張り裂けそうなくらい、俺の心を占めるお前に。


お前のいる空間が今の俺にとってはまだ新鮮で、でも心地良くて、
普段生意気な口を叩くくせに、その時折に優しく接してくる手に、声に、全て持ってかれそうで、苦しい。

俺がどれだけお前に向かって愛を囁いてるか知れない。
くさいこと言ってるな、と我ながら思うけどどうか見逃してほしい。
それだけもう手遅れなくらい、お前に本気なんだよ。

今この微妙な距離を埋めたい。関係を打破したい。
苦しいばかりが恋なんて俺は嫌だね。
そして今日もまた、開かずの扉をこじ開けに背中から回って目を合わせる。歓喜の震えがとまらない。


こんな気持ちにさせるのは、お前以外にいないのだと叫びたい。





今日も『好き』を言いそびれた