HAPPY BIRTHDAY...








「はぁー……」
唸る様に出されたその吐息は、白くなって空に消える。
思い出されるのは先程のやりとり。


「なぁなぁ、冬獅郎!なんか欲しいもの、ある?」
その大きな、綺麗な瞳を一瞬見開いて。
エメラルドの綺麗な瞳に映る自分が嬉しい。
「欲しいもの?……ないな」
「えぇー!」
「なんだ、なんかあんのか」
「いや別に特にこれといって冬獅郎の耳に入れておきたいことはございません!」
「はは、なんだよ」
「何でもないって」
「そうか?ならいいが」




物欲ねぇな、あいつ。
思い出して一つ、白い息がまた空に消えた。


年に一度の誕生日。
特別で、特別過ぎて。
だからこそ、あいつが望むものを。


「ちぇー、なんかねぇのかな」
あいつが喜びそうなもの。
……牛乳?
ウケ狙いじゃねぇんだよ!
……酒?
ウケ狙いじゃねぇんだって!


「おい一護!何を一人で百面相しておるのだ。」
「ルキア……」





「成る程。日番谷隊長の誕生日プレゼントを探しておるのだな。」
十三番隊に場所を移して、目の前に広がる、手入れの行き届いた日本庭園を眺める。
お茶が美味しい。
……俺が煎れたんだけどな!
「なんか良いのないか?」
「一護、日番谷隊長殿に告白するチャンスではないか!」
「ぶっ!!」
思わぬ一言に、せっかくのお茶を吹き出してしまった。
「汚い」
「おま、……なん!?」
「たわけが。お前の気持ちなぞ透けて見えておるわ。」
「透けっ!?」
「リボンを巻いて、俺がプレゼントだ、有り難く受け取れ!何でもして良いぞ……と言え」
「馬鹿野郎!気持ち悪い!却下だ却下!」
「たわけ!そういう意味ではないわ!日番谷隊長は常日頃から、松本殿の愚痴を零しておられる。仕事をサボるからツケがまわってくるとな」
「あ、なるほど。お手伝い券とか?」
「うむ、まあ妥当だな」
「よし決定!サンキュ、ルキア」






好きだよ

大好きだよ

そんなお前が産まれた日

プレゼント喜んで、

その綺麗な笑顔を見せてね。





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